◆ 手紙 01 ◆
2010年05月30日 (日)
かつて体験したことがないくらい、濃くて、熱い夜だった。
その時間は永遠にも思えたし、振り返ってみればあっという間でもあった。
その大半を過ごしたベッドに腰掛けて、高耶は両手で顔を覆っていた。
その傍らで、直江はまだ眠っている。
(責められてもしょうがない)
よくわかってる。
でも怖いのだ、どうしても。
手の中にあるものを失うかもしれないという恐怖から逃れるには、それを捨ててしまうのが一番の解決法だ。
父親を捨て、妹からも離れ、そうやっていつも、自分を護ってきた。
(でも、死ぬまでこんなことを続けるつもりはないんだ)
夢を手にしたときに初めて、自信が持てるのだと高耶は信じている。
(だから、それまで待っていて欲しい)
きっとその時がくれば思えるはずだ。
失う恐怖を感じることもなく、自分はそれを手にする資格があるのだと。
永遠に、手にしていてもいいのだと。
紙に、直江宛てで、
『これ以上、知らない世界に行くのが怖い』
そう書いた。
その紙を枕元に置くと、まだ眠る直江にもう一度触れる。
唇に、キスを落とした。
その時間は永遠にも思えたし、振り返ってみればあっという間でもあった。
その大半を過ごしたベッドに腰掛けて、高耶は両手で顔を覆っていた。
その傍らで、直江はまだ眠っている。
(責められてもしょうがない)
よくわかってる。
でも怖いのだ、どうしても。
手の中にあるものを失うかもしれないという恐怖から逃れるには、それを捨ててしまうのが一番の解決法だ。
父親を捨て、妹からも離れ、そうやっていつも、自分を護ってきた。
(でも、死ぬまでこんなことを続けるつもりはないんだ)
夢を手にしたときに初めて、自信が持てるのだと高耶は信じている。
(だから、それまで待っていて欲しい)
きっとその時がくれば思えるはずだ。
失う恐怖を感じることもなく、自分はそれを手にする資格があるのだと。
永遠に、手にしていてもいいのだと。
紙に、直江宛てで、
『これ以上、知らない世界に行くのが怖い』
そう書いた。
その紙を枕元に置くと、まだ眠る直江にもう一度触れる。
唇に、キスを落とした。
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