◆ 手紙 02 ◆
2010年05月31日 (月)
『あなたに会いに行くことは簡単だけど、
戻って来てくれることを、信じて待つことにします。
とりあえずはあなたに置いていかれないように、飛び立つ準備を。』
何日か経って直江から届いた手紙には、そんな文面と電話番号が書かれていた。
けれど何故か怖くて、そこにはかけることが出来なかった。
だから、直江の名刺に書かれていた警備会社の番号に、電話を掛けてみた。
すると、
「こちらにはそのような社員はおりません」
女の人の、冷たい声が返ってきた。
(まぼろし、だったんだろうか……)
ますます怖くなって、貰った番号には掛けられなくなった。
でも捨てることも出来ない。
随分昔に、電話番号を書いた紙を持ち歩いていたら覚えてしまったことがあったけど、同じように覚えてしまった。
その番号を心に並べながら、必死で自分に言い聞かせる。
自分ではまだ弱すぎるのだ、と。
直江がいなければ、辿り着けないなんて、それでは駄目だ。
ひとりででもそこを、目指さなければならない。
その強さを持って初めて、きっとそこは永遠となる。
(いつか……いつかきっと、その日は来る)
絶対に消えない場所、自分だけの天国に、自力で手を伸ばせる日が。
そうしたら。
(そうしたら、直江を呼ぶんだ)
その一念で、高耶は必死に日々を過ごした。
戻って来てくれることを、信じて待つことにします。
とりあえずはあなたに置いていかれないように、飛び立つ準備を。』
何日か経って直江から届いた手紙には、そんな文面と電話番号が書かれていた。
けれど何故か怖くて、そこにはかけることが出来なかった。
だから、直江の名刺に書かれていた警備会社の番号に、電話を掛けてみた。
すると、
「こちらにはそのような社員はおりません」
女の人の、冷たい声が返ってきた。
(まぼろし、だったんだろうか……)
ますます怖くなって、貰った番号には掛けられなくなった。
でも捨てることも出来ない。
随分昔に、電話番号を書いた紙を持ち歩いていたら覚えてしまったことがあったけど、同じように覚えてしまった。
その番号を心に並べながら、必死で自分に言い聞かせる。
自分ではまだ弱すぎるのだ、と。
直江がいなければ、辿り着けないなんて、それでは駄目だ。
ひとりででもそこを、目指さなければならない。
その強さを持って初めて、きっとそこは永遠となる。
(いつか……いつかきっと、その日は来る)
絶対に消えない場所、自分だけの天国に、自力で手を伸ばせる日が。
そうしたら。
(そうしたら、直江を呼ぶんだ)
その一念で、高耶は必死に日々を過ごした。
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