◆ 《事件Ⅱ 06》 ◆
2010年05月20日 (木)
何人かが掛け声とともに駆けよってきて、男を直江から引き剥がしていった。
「く……っ」
腹の痛みが増して、呼吸がひどく乱れる。
立っていることが出来ずに、その場に座り込んだ。
「なおえっ、なおええっ!」
高耶がすがりつくようにして、必死に自分の名を呼んでいる。
今なら何をお願いしても聞き入れてくれるんじゃないかという、邪な考えが過ぎった。
「なおえ……っ」
大きな瞳から、涙の粒がこぼれおちる。
血で汚れた手だったけれど、腕を掴んで引き寄せた。
(悪くないな……)
愛するひとがこんなに傍で自分のために涙を流してくれるのなら、ナイフで刺されるくらいなんてことはない、と直江は本気で考えていた。
「く……っ」
腹の痛みが増して、呼吸がひどく乱れる。
立っていることが出来ずに、その場に座り込んだ。
「なおえっ、なおええっ!」
高耶がすがりつくようにして、必死に自分の名を呼んでいる。
今なら何をお願いしても聞き入れてくれるんじゃないかという、邪な考えが過ぎった。
「なおえ……っ」
大きな瞳から、涙の粒がこぼれおちる。
血で汚れた手だったけれど、腕を掴んで引き寄せた。
(悪くないな……)
愛するひとがこんなに傍で自分のために涙を流してくれるのなら、ナイフで刺されるくらいなんてことはない、と直江は本気で考えていた。
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