◆ 休み明け ◆
2010年05月02日 (日)
金曜のバイトが終わってしまえば、土日は休みだから直江とは会えない。
あの屋上での出来事のあと、結局ふたりは、何事もなかったように別れただけだった。
けれど、確実に何かが違ってしまった。
直江の姿を待ちわびている自分がいる。
誰かに会いたいがために三日後を楽しみにするなんて、高耶には初めての経験だった。
「お早うございます」
「……おはよう」
直江はいつもの時間にいつものようにいつもの格好で現れた。
高耶も顔を上げないまま、いつも通りを心がけて返事をする。
「何か異状はありませんか」
「───特には」
ずいぶん他人行儀だな、と首を傾げていると、
「では」
直江の歩き出す靴音が響いた。
(………え?)
と思って振り返ると、直江は笑ってこっちをみている。
「そんな顔しないでください」
「………どんな顔もしてねーよっ」
「今日もまた、いつものところで」
「……おう」
それからは、時々でなく毎日、エレベーターのところで待ち合わせて、一緒に朝食を食べてから帰るようになった。
あの屋上での出来事のあと、結局ふたりは、何事もなかったように別れただけだった。
けれど、確実に何かが違ってしまった。
直江の姿を待ちわびている自分がいる。
誰かに会いたいがために三日後を楽しみにするなんて、高耶には初めての経験だった。
「お早うございます」
「……おはよう」
直江はいつもの時間にいつものようにいつもの格好で現れた。
高耶も顔を上げないまま、いつも通りを心がけて返事をする。
「何か異状はありませんか」
「───特には」
ずいぶん他人行儀だな、と首を傾げていると、
「では」
直江の歩き出す靴音が響いた。
(………え?)
と思って振り返ると、直江は笑ってこっちをみている。
「そんな顔しないでください」
「………どんな顔もしてねーよっ」
「今日もまた、いつものところで」
「……おう」
それからは、時々でなく毎日、エレベーターのところで待ち合わせて、一緒に朝食を食べてから帰るようになった。
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