おかしいでしょう、と直江は苦笑した。
「家族が一切料理をしないもので」
食事は外食、もしくは家に料理人を呼んで食べていたそうだ。
学校行事などで必要な弁当も、外注だったらしい。
「だから料金の発生しない、好意だけの弁当は初めてです」
「───……」
唖然としていた高耶がようやく、
「悪意かもしんねーぜ」
と言うと、直江がさらりと言った。
「あなたのものだったら、悪意でも殺意でも何でも食べてしまいたい」
眼をじっと見つめられて、どきりとする。
「……じゃあ、今度は毒入りで持ってきてやるよ」
ちゃかしながら高耶は、動悸が治めることが出来ずに眼を逸らした。
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