「お疲れさまです」
翌日、直江は全く普通の顔で巡回に来た。
「……………」
やっぱり不思議だ。
最初に会ったときに直江も言っていたが、高耶のほうもどこかで会ったような感覚がある。
必死に思い返してみても、名前も顔も全く見覚えはない。
返事をせずにぼんやりとしていると、笑いかけられた。
「どうしました」
明らかに正体不明の怪しい人間なのに、その不思議な感覚が警戒心を鈍らせる。
「異常はありませんか。おかしな人物をみかけたとか?」
「………あんた以外はな」
首をすくめながら言うと、
「ある意味、当を得てますね」
直江は意味深なことを言って去っていった。
PR