◆ 飲み会 05 ◆
2010年04月16日 (金)
パッと目の覚めた高耶は、知らない天井を目にして慌てて飛び起きた。
「───……っ」
頭がガンガンと痛む。
窓から入る日差しが妙に高いことに気付いた。
「うわっ……バイトっ……」
「連絡しておきました」
声のするほうを見ると、部屋の入り口に直江が立っている。
それで、昨日のいきさつを思い出すことができた。
「いつもあんなふうにお酒を飲むんですか」
近寄ってきた直江は、高耶の足元に腰を下ろす。
「酒は飲まないって決めてる。きのうは飲まされたんだ」
前に一度やられたことがあったから気をつけていたのに、油断してしまった。
「学校、いかないと」
「ここからでもアルコールのにおいがするのに?」
そう言われて、
「くそっ……」
高耶は舌打ちを打った。
「授業料が無駄になった」
天を仰いだ高耶に、あなたらしい悔しがり方だと、直江は笑って言った。
「───……っ」
頭がガンガンと痛む。
窓から入る日差しが妙に高いことに気付いた。
「うわっ……バイトっ……」
「連絡しておきました」
声のするほうを見ると、部屋の入り口に直江が立っている。
それで、昨日のいきさつを思い出すことができた。
「いつもあんなふうにお酒を飲むんですか」
近寄ってきた直江は、高耶の足元に腰を下ろす。
「酒は飲まないって決めてる。きのうは飲まされたんだ」
前に一度やられたことがあったから気をつけていたのに、油断してしまった。
「学校、いかないと」
「ここからでもアルコールのにおいがするのに?」
そう言われて、
「くそっ……」
高耶は舌打ちを打った。
「授業料が無駄になった」
天を仰いだ高耶に、あなたらしい悔しがり方だと、直江は笑って言った。
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◆ 飲み会 04 ◆
2010年04月15日 (木)
かつてないほどの眠気を感じながら高耶が目を開けると、知らない部屋の知らないベッドにちょうど寝かされたところだった。
「………?」
ここへやってくるまでの過程が、全く思い出せない。
「腕をあげて」
そう言われて顔をあげると、直江がいた。
「上着、脱ぐでしょう?」
「………ここ、どこ」
「私の家です」
そう言われて、なんとなく状況が飲み込めてくる。
何で直江があの店の前にいたのかとか、今はいったい何時なのかとか色々気にはなるが、とりあえず、
「あしたのバイト───]
「休みだと伝えておきます」
もう今日ですけど、と直江は笑っている。
「おまえ……しごとは……?」
「木曜はいつも隔週でしょう?」
直江は高耶に布団を掛けながら、
「もう寝てください。明日の朝、起こしますから」
その言葉に従うように、高耶は目を閉じた。
「………?」
ここへやってくるまでの過程が、全く思い出せない。
「腕をあげて」
そう言われて顔をあげると、直江がいた。
「上着、脱ぐでしょう?」
「………ここ、どこ」
「私の家です」
そう言われて、なんとなく状況が飲み込めてくる。
何で直江があの店の前にいたのかとか、今はいったい何時なのかとか色々気にはなるが、とりあえず、
「あしたのバイト───]
「休みだと伝えておきます」
もう今日ですけど、と直江は笑っている。
「おまえ……しごとは……?」
「木曜はいつも隔週でしょう?」
直江は高耶に布団を掛けながら、
「もう寝てください。明日の朝、起こしますから」
その言葉に従うように、高耶は目を閉じた。
◆ 飲み会 03 ◆
2010年04月14日 (水)
普段全く飲まないのと寝不足が重なって、少々のアルコールだけで高耶はすっかりダウンしてしまった。
「かわい~~」
店の前ですやすやと眠る高耶を、女の子たちが突っついている。
「俺らこれからカラオケ行くけど、なんなら誰かホテルにでも連れてったっていいぜ」
千秋が言うと、
「いいの?」
「ずる~~い、私がつれてく~~」
黄色い歓声が飛んだ。
と、そこへ。
「失礼」
にっこりとした笑顔を作ったスーツ姿の男が、割って入る。
「彼は私が預かります」
それだけ言うと、さあ立って、と高耶を促した。
「………なおえ……?」
「行きますよ」
抱きかかえる様にして高耶を連れ去ってしまった後姿に、女性たちのブーイングが飛ぶ。
「いいじゃん、あんなやつほっとけば」
そう言いながら、アレがナオエか、と千秋は眼鏡を光らせた。
「かわい~~」
店の前ですやすやと眠る高耶を、女の子たちが突っついている。
「俺らこれからカラオケ行くけど、なんなら誰かホテルにでも連れてったっていいぜ」
千秋が言うと、
「いいの?」
「ずる~~い、私がつれてく~~」
黄色い歓声が飛んだ。
と、そこへ。
「失礼」
にっこりとした笑顔を作ったスーツ姿の男が、割って入る。
「彼は私が預かります」
それだけ言うと、さあ立って、と高耶を促した。
「………なおえ……?」
「行きますよ」
抱きかかえる様にして高耶を連れ去ってしまった後姿に、女性たちのブーイングが飛ぶ。
「いいじゃん、あんなやつほっとけば」
そう言いながら、アレがナオエか、と千秋は眼鏡を光らせた。
◆ 飲み会 02 ◆
2010年04月13日 (火)
最初だけいればいいと言われたって、そう中々帰れるものではない。
アルコールは一切口にしないと決めている高耶がウーロン茶を握り締めていると、
「そういえばナオエって名前、聞き覚えがあるはずだわ」
千秋が話しかけてきた。
「あのビル、保安とかメンテとか全部同じグループ系列の会社が任されてんだけど、直江ってそのグループの経営者一族の名前だわ。そのナオエも、親戚か何かかもな」
高耶は目を丸くした。
───取締役……?
───家族経営なもので
そのことが気になってしまってぼんやりとしていたせいで、ウーロン茶のジョッキにこっそり焼酎を入れられたことに、高耶は気付けなかった。
アルコールは一切口にしないと決めている高耶がウーロン茶を握り締めていると、
「そういえばナオエって名前、聞き覚えがあるはずだわ」
千秋が話しかけてきた。
「あのビル、保安とかメンテとか全部同じグループ系列の会社が任されてんだけど、直江ってそのグループの経営者一族の名前だわ。そのナオエも、親戚か何かかもな」
高耶は目を丸くした。
───取締役……?
───家族経営なもので
そのことが気になってしまってぼんやりとしていたせいで、ウーロン茶のジョッキにこっそり焼酎を入れられたことに、高耶は気付けなかった。
◆ 飲み会 01 ◆
2010年04月12日 (月)
「バイトあるから無理だって!」
「どーしてもひとりたんねーんだよ」
千秋が幹事の合コンのメンバーに勝手に入れられてしまった高耶は、猛然と抗議していた。
「居酒屋のバイト、今日は休みなんだろ」
「でも明日の早朝バイトのほうが」
「最初だけいてくれればいいから」
有無を言わせぬ千秋の強引さに、高耶は従うしかなかった。
「どーしてもひとりたんねーんだよ」
千秋が幹事の合コンのメンバーに勝手に入れられてしまった高耶は、猛然と抗議していた。
「居酒屋のバイト、今日は休みなんだろ」
「でも明日の早朝バイトのほうが」
「最初だけいてくれればいいから」
有無を言わせぬ千秋の強引さに、高耶は従うしかなかった。