◆ 《事件Ⅱ 04》 ◆
2010年05月18日 (火)
顔色を変える高耶と比べて、直江は酷く冷静だった。
こんな小さなナイフでは、余程うまく刺さない限り致命傷にはならない。
そのことがわかっていたからだ。
「残念だったな」
多少投げ遣りな響きで、直江は言った。
「あの人は、俺が刺されようが撃たれようが、何の関心も示さないだろう」
けれど男はそれを演技と取ったのか、
「ま、口では何とでも言えるよな」
フンと鼻で笑った。
「あの人のことを知っているのなら、尚更理解できるだろう?」
「……そうかもな。けど、試してみる価値はあんだろ」
ナイフの刃で自分の掌をぺちぺちと叩きながら、男は言った。
どうやら思い留まる気はないらしい。
一歩、また一歩と男の足が前に出て、じりじりと直江の元へと近づいてくる。
「───覚悟決めなっっ!!」
男が、掛け声とともに走り出した。
と、そこへ、
「やめろっっ!!」
高耶が、直江の身体の前へと飛び出してきた。
こんな小さなナイフでは、余程うまく刺さない限り致命傷にはならない。
そのことがわかっていたからだ。
「残念だったな」
多少投げ遣りな響きで、直江は言った。
「あの人は、俺が刺されようが撃たれようが、何の関心も示さないだろう」
けれど男はそれを演技と取ったのか、
「ま、口では何とでも言えるよな」
フンと鼻で笑った。
「あの人のことを知っているのなら、尚更理解できるだろう?」
「……そうかもな。けど、試してみる価値はあんだろ」
ナイフの刃で自分の掌をぺちぺちと叩きながら、男は言った。
どうやら思い留まる気はないらしい。
一歩、また一歩と男の足が前に出て、じりじりと直江の元へと近づいてくる。
「───覚悟決めなっっ!!」
男が、掛け声とともに走り出した。
と、そこへ、
「やめろっっ!!」
高耶が、直江の身体の前へと飛び出してきた。
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