◆ お祝い 01 ◆
2010年03月20日 (土)
「ここでしたか」
高耶は8階フロアの隅にある、食品メーカー会社の床掃除をしていた。
そこへ直江がやってきて、声をかけてきた。
8階は各会社ごとに部屋が仕切られているから、通常はその中までは入らず、廊下だけの清掃だ。
けれどこの会社は鍵を預かっていて、床の掃除だけすることになってる
「異状はありませんか」
「ああ」
と、答えた高耶だったが、見ると直江は全然別のほうを見ている。
ずらりと並んだ机の中のひとつを、じっとみていた。
「見てください」
そう言われて、勝手に見ていいものかと思いつつ覗くと、
「この席の女性、明日が誕生日ですね」
直江が、白い猫のキャラクターで飾られた机の上に乗っている、小さなカレンダーを指差す。
「……ほんとだ」
名前も顔も知らない人だし、もしかしたらキティグッズの好きな男性かもしれないけど。
でも"私の誕生日:由美子と鍋"という文字は女性のものだ。
(誕生日に女友達と鍋かあ)
女ふたりで盛り上がっている場面を想像してみたら、なんとなく親近感を感じてしまった高耶だった。
高耶は8階フロアの隅にある、食品メーカー会社の床掃除をしていた。
そこへ直江がやってきて、声をかけてきた。
8階は各会社ごとに部屋が仕切られているから、通常はその中までは入らず、廊下だけの清掃だ。
けれどこの会社は鍵を預かっていて、床の掃除だけすることになってる
「異状はありませんか」
「ああ」
と、答えた高耶だったが、見ると直江は全然別のほうを見ている。
ずらりと並んだ机の中のひとつを、じっとみていた。
「見てください」
そう言われて、勝手に見ていいものかと思いつつ覗くと、
「この席の女性、明日が誕生日ですね」
直江が、白い猫のキャラクターで飾られた机の上に乗っている、小さなカレンダーを指差す。
「……ほんとだ」
名前も顔も知らない人だし、もしかしたらキティグッズの好きな男性かもしれないけど。
でも"私の誕生日:由美子と鍋"という文字は女性のものだ。
(誕生日に女友達と鍋かあ)
女ふたりで盛り上がっている場面を想像してみたら、なんとなく親近感を感じてしまった高耶だった。
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