「直江!」
いつもの時間になって現れた直江に、待ちかねたように高耶は声をかけた。
「どうしました?」
「みろよ、これ」
引っ張るようにしてやってきたのは、例の昨日誕生日だった女性のデスク、の隣のデスクだ。
ど真ん中に、わざとらしく卓上カレンダーが乗せられている。
明日の日付ののところには"マイバースデイ"の文字。
直江は思わず笑い出した。
「これ、明らかに嘘だろ」
「かわいらしいじゃないですか」
「ずうずうしいの間違いだろ?」
「まあ、靴屋の小人になったつもりで」
直江がそう言うものだから、結局翌日、ふたりはまたしてもお菓子と花束をデスクに置いた。
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