◆ 事件後 01 ◆
2010年05月23日 (日)
あの日から、何の動きもないままに時間は過ぎていった。
高耶の携帯電話には幾度か直江からの着信があったけれど、タイミング悪く取れなかったのと、自分からはかけずらかったせいもあり、ずっと連絡を取らずにいた。
あっという間に二週間。
いい加減、先延ばしにも出来ない。
何より、声が聴きたいと思う気持ちが抑えられなくなって、高耶は直江へ電話をかけた。
「───もしもし」
何度目かのコールで、直江は出た。
「………オレだけど」
「ええ。わかってます」
ほっとしたような声色で、直江は言った。
たった二週間聴かなかっただけで、ずいぶんと懐かしい感じがする。
耳のすぐそばで直江の声がすることに違和感を感じて、高耶は心持ち受話器を耳から放しながら口を開いた。
「……怪我の具合は?」
「言ったでしょう?急所は外したと。だから大したことありませんよ」
「じゃあ、入院とかは……」
「いいえ。今は自宅療養中です」
と言っても、ずっと仕事に追われてますが、と直江は笑った。
「………今からいっても平気か?」
「うちにですか?ええ、もちろん」
「じゃあ、向かうから」
「今、どこです?迎えに───」
「いい」
それだけ言って、高耶は電話を切った。
そして、緊張で硬くなった身体からふうっと力を抜く。
唐突な切り方をして、無愛想に思われてしまっただろうか。
それでも、目的は達成だ。
久々に、直江に会える。
高耶は戦にでも向かう気分で、直江の家へと向かった。
高耶の携帯電話には幾度か直江からの着信があったけれど、タイミング悪く取れなかったのと、自分からはかけずらかったせいもあり、ずっと連絡を取らずにいた。
あっという間に二週間。
いい加減、先延ばしにも出来ない。
何より、声が聴きたいと思う気持ちが抑えられなくなって、高耶は直江へ電話をかけた。
「───もしもし」
何度目かのコールで、直江は出た。
「………オレだけど」
「ええ。わかってます」
ほっとしたような声色で、直江は言った。
たった二週間聴かなかっただけで、ずいぶんと懐かしい感じがする。
耳のすぐそばで直江の声がすることに違和感を感じて、高耶は心持ち受話器を耳から放しながら口を開いた。
「……怪我の具合は?」
「言ったでしょう?急所は外したと。だから大したことありませんよ」
「じゃあ、入院とかは……」
「いいえ。今は自宅療養中です」
と言っても、ずっと仕事に追われてますが、と直江は笑った。
「………今からいっても平気か?」
「うちにですか?ええ、もちろん」
「じゃあ、向かうから」
「今、どこです?迎えに───」
「いい」
それだけ言って、高耶は電話を切った。
そして、緊張で硬くなった身体からふうっと力を抜く。
唐突な切り方をして、無愛想に思われてしまっただろうか。
それでも、目的は達成だ。
久々に、直江に会える。
高耶は戦にでも向かう気分で、直江の家へと向かった。
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